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ビジネスアイデアプランコンテスト

◆伝統と豊かな生物多様性を守るために

令和2年度、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」 ビジネスアイデアプランコンテストを実施しました。

世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の認知度向上及び地域が抱える課題解決を図るため、茶製品等の販売拡大や地域での労働力確保のためのビジネスアイデアプランを令和2年6月9日~8月31日の期間で募集を行いました。県内外から31件の応募があり、令和2年12月11日に最終選考が行われ、1次選考を通過した11プランの中からグランプリが決定しました。

審査の様子

審査結果

◆グランプリ受賞者とプランの紹介

グランプリ
歩きたくなる茶の道 ロングトレイル

山田 幸一

ビジネスプランはコチラ >
[PDFファイル/4,183KB]

◆グランプリ受賞者 インタビュー

グランプリを獲得した山田さんにお話しをお聞きしました。
―― 山田さんはこんな人
掛川城近くの神明町生まれ。

大手旅行会社を早期退職し、沖縄で起業後、帰郷。
2017年10月、掛川市日坂で体験型古民家宿&縁側cafe旅ノ舎(たびのや)をオープン。
―― 大手旅行会社を辞めて民泊をはじめた理由
旅行会社では26年間、国内の個人旅行の造成(商品企画)を行っていました。
どの職場でもそうですが、年を重ねると人事や管理する側になりますよね。僕は現場で企画をしていたかったので、思い切って退職しました。

造成(商品企画)はおもしろい反面、お客さんの声が中々聞こえにくい仕事でもありましたので、
自分で足を運んで実際に体験し、お客さんがおもしろいと思うような企画をし、僕もお客さんと一緒に体験して生の声をたくさん聞いてみたいと思いました。
―― 旅ノ舎(たびのや)について
沖縄では一棟貸しの民泊をしていたので、今度は自分でも古民家で民泊を始めたいと思い、良い物件はないかと探しました。最初は東京の奥多摩がいいなと思いましたが物件が思うように見つかりませんでした。

妻が鳥取出身なので鳥取もいいなと思い城下町にある築100年の古民家を貸してもらうつもりでいましたが、
地元の人たちが「古い伝統のある町なので、お客さんがたくさん来られても困る」ということでうまくいきませんでした。

そんなところに、旧東海道五十三次25番目の宿場町である掛川市日坂にある築70年の元お茶農家の古民家を紹介してもらいました。大工さんに入ってもらってリノベーションをし、2017年10月から体験型古民家宿&縁側cafe旅ノ舎(たびのや)をオープンさせました。 宿経営は初めてですが、ずっとやってみたかったことなので楽しんでいます。

1泊2食、体験込みで約15000円(食事つき)です。2階がゲストハウスとなっていて定員6名(和室6畳洋室7畳)です。宿泊者には茶畑へのご案内と、お茶農家さんとふれあうことができるお茶体験をしてもらっています。
―― こんな思いで旅ノ舎(たびのや)を運営しています。
以前いた沖縄でも、地元住民にとって「観光客が増えると道路は渋滞するし、レンタカーの事故も多いし、お店に行っても混雑しているし…」と、観光客は疎まれる存在でした。 掛川のお茶農家さんだって、忙しい時に狭いお茶畑をのんびり歩く観光客を邪魔だなぁと思っていると思います。 そんな地元住民の方と観光客の方の距離感やギャップをうめて、交わる場所、思いが伝わる場所を作りたいと考えるようになりました。

僕も久しぶりに地元に帰ってきて、お茶農家さんとお話をしながら淹れてもらったお茶を飲んで「こんなに美味しかったんだ!」と感動しました。 今までそんなこと思いもしなかったのに、です。「こんなにもおいしいお茶があるんだ」ということを、もっといろんな人に知ってもらいたいと思いました。



僕が一番やりたかったことは、旅ノ舎に泊まってくれたお客さんと、お茶農家さんに一緒に行ってお茶について学んでもらうということでした。 お客さんが、お茶農家さんにお茶の淹れ方を教えてもらいながらお茶を飲んで会話をする中で、 お茶農家さんの苦労や、大変さも分かってもらえればいいなぁと思っています。
「お茶は忙しいからそんなことやってられないよ」と言っていたお茶農家さんが手を止めて観光客の方々の相手をしてくれるようになって…、新茶の一番忙しい時期でもやってくれるようになって…、そんな農家さんがだんだん増えているのでとても嬉しく思います。

なんらかの形でお茶の生産者とつながり、接点を持つことが大事だと考えているので、旅ノ舎も接点になったらこんな素敵なことはありません。

旅ノ舎をオープンさせた頃、地域との関係性を作っていかなくてはと地元住民の方々とコミュニケーションを取り始めました。時ノ寿の森(ときのすのもり)の松浦さんや、日坂のまちづくりの方々、倉真、東山の方々、茶文字の田中さんとも仲良くなり、「私たちができることはなにか」を日々話しています。
―― ビジネスアイデアプランコンテストに出そうと思ったきっかけは
コンテストに出すことで、茶草場農法や僕たちの活動(昨春立ち上げた「かけがわ粟が岳山麓農泊推進協議会」)を知ってもらえるかなと思って、企画して提出しました。

菊川市のSORAというリズムダンススタジオの名倉さんは、ダンスだけではなく週末は外に出て生徒さんと一緒に日坂や粟ヶ岳を歩くなどの自然活動もされているので、かけがわ粟ケ岳山麓農泊推進協議会(掛川市、地元企業、団体等13組織)に入ってもらいました。

名倉さんと僕の頭にあるモノを形にしたのがこの「歩きたくなる茶の道 ロングトレイル」という企画です。今回の企画にある「ロゲイニングを通じて茶の里を楽しむ」は、本川根でロゲイニングを企画し開催している小泉さんにも関わってもらっています。
[ロゲイニングとは]
地図、コンパスを使って山野に多数設置されたチェックポイントをできるだけ多く制限時間内にまわり、得られた点数を競う野外スポーツ
―― 歩きたくなる茶の道の魅力とは。
東海道日坂宿には首都圏からを中心に観光客の方々約2万人が歩いているので、粟ヶ岳まで足を伸ばしてくれたら…自転車で巡ってくれたら…と考えています。粟ヶ岳に描かれた茶文字とそこに広がる茶畑は、北海道の美瑛の丘に匹敵する素晴らしい景色です。また、四季折々の里山の風景と食をいつでも満喫できます。

今までは、お茶畑は見ることはできるけれど、入ることはできませんでした。お茶畑の中に入ってお茶が摘めればおもしろいですよね。

観光客の方が茶の道を歩いて、茶摘み体験や、茶草場作り体験、お茶刈り作業やお茶工場を見学して実際にお茶について学び体験することでお茶に親しみを持ってもらえらたと思っています。
お茶でいっぷくしながら地域住民の方々との交流を楽しみ、地域の日常を体感してもらえると嬉しいです。
―― これからの夢は。
「ロングトレイル」という名前だけがひとり歩きしているのでちゃんとした「道」にしたいと考えています。この1年から2年の間に、一本の道として整備したいです。

ロゲイニングのイベントは単発イベントですが、いつでも個人で来ても自分たちのタイミングでロゲイニングを楽しめるような仕組みとマップを作りたいと思っています。2時間のショート、まるまる1日コースなどを作って、ここでいっぷくできる、ここで食事ができるなどの情報と、途中でなんらかのミッションを入れてゲーム感覚で楽しんで茶の道を楽しんでもらえるようにしたいです。

夢は、お茶のファンが増えることです。
ペットボトルでお茶を飲んでいた人たちが、お茶の葉を急須に淹れて丁寧にお茶を飲む。そしてそれがゆったりとした寛ぎの時間となる…。日常生活の中でお茶を飲む暮らしがあたりまえになることが理想です。この茶草場の風景が後世まで生き残るためにとても必要なことだと考えています。
―― さいごに
世界農業遺産「静岡の茶草場農法」ビジネスアイデアプランコンテストに応募し、グランプリとなった「歩きたくなる茶の道 ロングトレイル」がこれを機に世間に広く知られるようになり、世界農業遺産である静岡の茶草場がより多くの方に楽しんでもらえることを山田さんは願っていました。

◆歩きたくなる茶の道 ロングトレイル イメージ動画

グランプリ受賞プランをもとにイメージ動画を制作しました。

◆その他受賞プランのご紹介

準グランプリ
●かっぽしアートフェスティバル< 菊池 翠 > [PDFファイル/2,731KB]
●「世界農業遺産 静岡の茶草場農法」presents RPGゲーム「茶草場守ろう!」< 土屋 裕子 >
 [PDFファイル/1,682KB]
●手間をかけずに手軽に飲むお茶から、時間もお金もかけるお茶へアップデート< 立石 菜緒美 >
 [PDFファイル/1,361KB]
学生特別賞
●めざせ!静岡茶マスター ~小学生のための静岡茶講座~ < 杉本 知音 >
優秀賞
●CHAGUSABA TEA,Drink LEAF TEA Protect Nature < 戸倉 由紀枝 > 
●オーナー制度、トラスト制度を導入し、茶草場農法・農場のファンを増やす < 菊池 裕生 >

◆コンテストの概要

1.主催 世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会

2.募集内容
<募集プラン>
茶草場農法の認知度向上と茶草場の維持・継承、茶草場農法に取り組む地域の活性化につながるビジネスプラン
(例)
茶草場農法の茶の販売を拡大するプラン
・人気コンテンツとコラボし販路拡大するプラン
・茶を飲まない若年層をターゲットとした新商品開発
茶草場を維持・保全するプラン
・週末等に茶草場で作業を行える人材と労働力が必要な農家を結びつける人材登録サイトの創設
・作業応援ボランティア増加に繋がる体験ツアーの作成
<応募資格>
誰でも応募可能(職業、居住地、年齢、国籍等は問わない)
<備考>
受賞したビジネスプランの実施の権利は応募者に帰属する。応募者が自らプランを実施しない場合は、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会が実施の権利を譲り受ける。
<応募期限> 令和2年8月31日(月)午後5時まで

3.審査方法 
書面審査により選考されたプランについて、プレゼン形式による審査を実施

4.表彰および副賞 グランプリ1名(賞金20万円)、準グランプリ3名(賞金5万円) 優秀賞3名(賞金2万円)、学生特別賞1名(賞金5万円)
※各賞とも該当者無しの場合がある。
※学生特別賞は、グランプリ及び準グランプリに学生が選ばれなかった場合に授与する。
※副賞として茶草場農法で生産された茶を贈呈する。

◆バーチャルツアー実施

2020年7月8日(水)ビジネスプランコンテストにおけるプラン作成の参考に、オンラインでバーチャルツアーを実施しました。世界農業遺産「静岡の茶草場農法」の概要や生物多様性についての説明、各市町の取り組みなどを3部に分けて参加者に紹介しました。
バーチャルツアー様子
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世界農業遺産「静岡の茶草場農法」
推進協議会
【事務局】静岡県経済産業部農業局お茶振興課内
〒422-8067 静岡県静岡市駿河区南町14-1水の森ビル3階
TEL: 054-202-1488
世界農業遺産に認定された「静岡の茶草場農法(しずおかのちゃぐさばのうほう)」公式情報発信サイトです。茶草場農法は、良質な茶生産と生物の多様性保全が両立する世界的にも貴重な農業文化です。このサイトでは、茶草場農法をより知っていただくための情報として観光や撮影スポット、アクセス等をご紹介していきます。
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