静岡県の掛川市、島田市、菊川市、牧之原市、川根本町の4市1町では、県の特産品であるお茶の栽培が、「茶草場農法」という独自の伝統農法で行われています。この地域には「茶草場」と呼ばれるススキやササなどが自生する草地が、茶園や集落の周りにモザイク状に点在しています。「茶草場農法」は秋から冬にかけて、この茶草場から草を刈り取り、乾燥させて、冬の間に茶園の畝の間に敷く農法です。茶園に草を敷くことで、傾斜地茶園の土壌条件を良好に保つだけでなく、流亡を防ぎ、お茶の品質においても良い影響を及ぼすとされています。茶農家が利用し、維持してきた里山の草地には、他の場所では見る機会が少ない固有種を含む300種類以上の多様な動植物が確認されています。茶草場農法は、「高品質な茶生産」と「生物の多様性の保全」がバランスよく両立され、深蒸し茶や手もみの文化、伝統行事、里山の美しい景観、それらを継承してきた集落・人の活動など、世界に誇る多様な農業文化を評価され、2013年5月に世界農業遺産に認定されました。
現在、静岡県が事務局を務め、県と認定地域の4市1町で構成される世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会は、これまで2013年に定めた第1期アクションプラン及び2018年に定められた第2期アクションプランに基づいて、同農法により生産されたお茶のブランド化推進、応援制度基本計画の策定、地域の景観改善と情報発信、試験研究の推進など世界農業遺産推進プロジェクトに取り組んでいます。
今回策定する第3期アクションプランは、前プランに基づいて取り組んだ成果や課題を検証し、認定地域全体として次世代に継承すべき「静岡の茶草場農法」の保全と活用に取り組むための方策を再構成したものです。
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