7月8日(水)に実施した、バーチャルツアー第3部において行われた質疑応答を公開します。
終了後にメール等で頂いた質問についての回答も追加しました。
ビジネスプランコンテストにおけるプラン作成の参考にしていただければ幸いです。
Q.各地域によって、茶草場農法自体に違いはありますか?
A. (川根本町のつちや農園より)目的はどこも同じだと思いますが、地域的な違いはあると思います。
例えば、当町の様に傾斜の厳しい茶園が多いところでは、ススキやカヤを刻むことなく長いまま茶畑の畝に敷きこみます。こうすることで分解の速度がゆっくりとなります。
分解速度がゆっくりになれば、乾燥の防止や、土や肥料の流防、冬場の保温にも役立つのです。
Q.牧之原市の説明の中の茶草場関連商品とは具体的にどのようなものか?茶関連商品が少ないのはなぜか?
A.主として茶草場農法で作られたお茶のことを指しています。
・お茶商品について
茶園で摘まれた茶葉は、お茶農家によって「荒茶」という形態まで製造します。
一般的に、お店で並んでいる商品は「仕上げ茶」と呼ばれ「荒茶」をさらに加工したものになります。仕上げ加工はお茶の専門店(茶商、問屋)などによって行われます。
・茶農家の種類について
一括りに茶農家といっても、様々な経営形態に分かれており、大まかに
①自園自製…個人の工場を持ち、製造する茶葉(生葉)の8割を自給している。
②自園自製兼買葉…個人の工場を持ち、茶葉を他の農家からも買って製造している。
③生葉売り…お茶の生葉のみを生産。
市内茶農家の多くは荒茶まで製造した後、茶商や問屋に殆ど卸してしまいます。
茶商や問屋へ卸してしまうと、他の工場の荒茶と合組(ブレンド)されてしまいます。また、製品にまで加工する設備を持っていない農家も多く、茶草場農法実践者も例外ではありません。そのため、牧之原市では茶草場に関連した商品が少なくなっております。
Q.牧之原市の『望』は茶草場農法のお茶ですか?
A.「望」はJAハイナンがブランド化に取り組んでいる製品で、茶草場農法で作られた『望』を実践認定者(2社)が取り扱っている
長谷川製茶(牧之原市蛭ヶ谷)
株式会社荒畑園(牧之原市布引原)
茶草場農法で作られたものとそうでないものがある。茶草場農法で生産された「望」は、協議会ウェブサイトからも購入可能。
Q.茶草場農法で作られたお茶のおいしさや良さはお茶として飲むことが最も発揮されるのでしょうか?
抹茶を使ったスイーツやお菓子などに加工することも考えらるが、このような試みもなさっているのか?
A.メインはお茶(リーフティー)ですが、飴やお饅頭の原料としても使っています。このような加工品も視野に入れています。
Q.地域として外国人へのアピールはどのようにされているのか?今後増やしていきたいのか?受け入れ態勢等は?
A.平成29年掛川茶輸出戦略と称して本格的に海外へと掛川茶を広める動き。
毎年数人の海外のインフルエンサー(紅茶業界の書籍を出版されている方、お茶の資格の認定機関の講師の方)を呼んでいる。
受け入れ態勢の現状はまだ行政が間に入らないといけない。海外の方が直接現場にきても戸惑ってしまう。将来的には行政が間に入らなくとも、スムーズに受け入れらるよう、施設等と連携していきたい。
Q.茶草場のお茶とそうでないお茶の違い、特に商品としての違いには何がありますか?そうではないお茶そのものも市場に纏わる問題点を抱えているように見えるのですが
A.秋から冬にかけて、茶草場から刈り取り、干した茶草を敷く、という手順が茶草場農法の茶の特徴ですが、出来上がった「茶」そのものの商品としての違いは、その他の管理や栽培地域、品種、製茶の方法によっても大きく変わります。このため、栽培履歴がわからなければその他のお茶と判別することはほぼ不可能と考えていただいて構いません。
おっしゃる通り、これまで100年単位で茶草場の生物多様性を支えてきた地域の基幹産業「茶業」が抱える課題がそのまま茶草場農法の課題になっていると捉えて頂いてよろしいかと存じます。
高品質な茶の生産と生物多様性の両立を評価されての世界農業遺産の認定であることから、茶業の課題を抜きにして茶草場農法の維持・継承を考えることは困難かと考えております。
Q.今回のビジネスコンテストの対象となる茶草場農法を実践しているお茶農家と茶草場農法のお茶の定義について教えてください。
掛川市、菊川市、牧之原市、島田市、川根本町の茶草場農法実践者認定制度による認定者のみのお茶・農家の方たちが対象になりますか?
例えば静岡市や浜松市で茶草場農法で作ったお茶は、「静岡の茶草場農法で作ったお茶」と言えますか?
A.認定地域外でも、確実に茶草場農法で生産されたお茶ということが確認できる商品であれば、「茶草場農法のお茶」と言うのは差し支えありません。ただ、世界農業遺産「静岡の茶草場農法」として認定されているのは認定地域内に限定されてしまうため、協議会の実践認定者のお茶で無ければ生物多様性貢献度シールを表示することはできません。ビジネスコンテストに提出頂くプランが「茶草場農法」を幅広く捉えたものであったとしても、今後、認定地域内における本システムの継続に資するものであれば、コンテストに応募して頂ければ幸いです。