平成25年(2013年)5月に石川県で開催された世界農業遺産(GIAHS)国際会議で世界農業遺産に認定された「静岡の茶草場農法」は10周年を迎えました。
静岡県は、日本屈指の茶産地、茶の集積地というだけでなく、美しい茶畑の景観や歴史・文化など、お茶に関連する数多くの資源を有する「茶の都」であり、茶草場は文化的景観としても大変価値あるものです。
世界農業遺産「静岡の茶草場農法」推進協議会(事務局:静岡県)は、令和5年10月20日(金)、掛川市の掛川グランドホテルにて、認定10周年記念式典を開催しました。
また、翌21日(土)には、認定地域4市1町(掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町)を巡るエクスカーション(体験バスツアー)を実施しました。
式典には、国や県内の関係者、茶草場農法実践認定者、国内外の農業遺産認定地域の担当者ら181人が出席しました。
基調講演では、農林水産省の世界農業遺産等専門家会議の武内和彦委員長から、茶草場農法を維持・継承していくには、脱炭素社会の実現や、環境負荷低減への貢献を国内外に発信するとともに、同農法の茶の科学的優位性を検証し、付加価値を高めることが重要というお話がありました。
その他、中国、韓国の世界農業遺産認定地域の紹介や、国内25地域の世界・日本農業遺産認定地域のパネル展示などが行われました。パネルディスカッションでは、世界農業遺産の観光資源としての活用方法について活発な議論が交わされました。
基調講演 | 海外認定地域の紹介(中国福建省泉州市安渓県) |
海外認定地域の紹介(韓国慶尚南道河東郡) | パネルディスカッション |
認定地域である掛川市、菊川市・牧之原市、島田市、川根本町を巡る4コースの体験バスツアーを実施しました。
各コース定員25名、合計100名で募集したところ、コースによってはキャンセル待ちが出るほどの大盛況で、97名が参加しました。参加者のうち、首都圏・中京圏在住者28名を含む75名は一般の方々で、本県茶業と茶草場農法を知ってもらう良い機会となりました。
参加者からは、「訪問先の皆さんの地域の伝統的な茶文化を次世代に残そうとする熱意を感じ、応援したい気持ちになった。」との声が聞かれました。
茶畑での説明 | 茶草の草刈り体験 |
推進協議会では、今後も茶草場農法で栽培された茶の科学的優位性についての検証や、生物多様性調査、茶関連商品への認定シールの貼付等により「静岡の茶草場農法」のブランド化を推進すると共に、農林水産省や全国の農業遺産認定地域と協力して農業遺産の認知度向上に努めてまいります。
高品質なお茶を生産しようとする農家の努力が、多様な動植物の生息する里山環境を守っている「静岡の茶草場農法」の素晴らしさをより多くの皆様に御理解いただくことによって、茶草場農法の継承や文化的景観の維持、地域の活性化に繋がることを願っています。
<開催概要:案内チラシ>
クリックするとPDF版が開きます⇒案内チラシ